日本は、アメリカ・ソビエトに次いで世界で3番目に月に到達した国である!ということを、どれほどご存じな方がいるのでしょうか?
月探査衛星「かぐや」は記憶に新しいところですが、実は、1990年1月24日、今から約20年前に鹿児島県内之浦宇宙空間観測所で、実験衛星文部省(現在:文部科学省)の宇宙科学研究所(現在:JAXA宇宙科学研究本部)の第13号科学衛星「ひてん」を載せたロケットが打ち上げられています。そのロケットは、月の観測を行う科学衛星ではなかったのですが、技術開発という意味をもつ工学実験衛星だったんです。
その任務は?というと、大きく3つありました。
①軌道制御実験
軌道の精密評定・制御・高効率データ伝送技術の習得、地球によるエアロブレーキ実験
②宇宙塵(うちゅうじん)の観測
地球~月空間の宇宙塵の計測(ミュンヘン工科大学と共同研究)
③月の探査
月のスイングバイ実験
月周回軌道への衛星投入
この「ひてん」がおこなった軌道制御実験で圧巻だったのが「月のスイングバイ実験」。この実験が成功する確率は極めて低いと思われていたようです。しかし、この「ひてん」は最終的に10回もの月のスイングバイ(天体の重力を利用して、加速・減速に利用する宇宙航法。重力ターンとも呼ばれている)を成功させています。
また、地球の大気圏をかすめさせ減速させる実験であるエアロブレーキを世界初の成功を納めています。その他にもホーマン軌道(星を中心とした楕円軌道)での月周回軌道への投入実験など、見事にその使命を果たしています。
しかし、「ひてん」は月探査衛星と呼ばれていません。なぜかというと、「ひてん」はラグランジュ点(2つの天体(この場合は、月、地球)の間に生じる重力が安定する所)での宇宙塵の観測などは行ってはいるものの本格的な月の探査を行ってはいないからなのです。ですので、実際に行っているものはというと月周辺の宇宙塵の観測、光学航法センサーを用いた月面写真の撮影程度なんだそうです。ですので、日本初の月探査衛星と呼ばれていないんですね。
しかし、「ひてん」の最後の使命である月面への落下ミッションというのがあります。1993年4月11日に「ひてん」が月面(フレネリウス・クレーター)に衝突。その衝突をオーストラリアの天文台が撮影に成功しています。これが、月に世界で3番目に到達した国が日本である!といえる根拠なんですね。
また、この「ひてん」が残したデータやスイングバイ技術などは、その後の火星探査衛星「のぞみ」や小惑星探査機「はやぶさ」そして、月探査衛星「かぐや」にも多くの技術が生かされているそうです。