◎ プジョー604
「Peugeot 604」それは、復活と言えるほどの年月が流れていた。
プジョーの「6シリーズ」旗艦601が誕生したのは、第二次大戦前の1934年のことだったのは、前回601の紹介で書かさせて頂いたとおりです。
それから、戦後となり、601から41年の歳月が経った1975年。ついに6シリーズが復活しました。その名も「プジョー604」3月のジュネーブショーでそのベールを脱ぎ、プジョー戦後初のPRV(プジョー・ルノー・ボルボの共同開発)で開発されたV型6気筒エンジンを搭載していました。このエンジンは、当時のボルボ264、ルノー30に搭載されていたものと同じものでした。駆動方式としては、横置きRWDとしていました。
ピニンファリーナ・デザインの604は、04シリーズの旗艦らしい、新鮮さと落ち着きのあるもので、ボディーサイズとしては、全長4720mm×全幅1770mm×全高1440mmと、大きなボディーサイズからくる、旗艦らしい広い室内を実現していました。
さて、このPRV製のV6SOHCエンジンは90°のVバンク角度が与えられたオール・アルミ製、排気量2664ccで、ツインチョークのソレックス・シングル・キャブレターを装備し、131HP/5750r.p.mを発揮しています。また、ミッションは、プジョー自社製の4MTとGM製の3AT('81年からはZF製)の2種類がありました。最高速度(4MT)は、182km/hとなっています。
サスペンションは、基本的には504を受け継いでいて、4輪独立懸架。フロント/コイルを使ったマクファーソン・ストラット。リア/セミトレーリング・アーム+コイルの形式を採用していました。また、ステアリングには、GMサギノー製のパワー・アシスト(パワステ)を採用。ブレーキは、フロント・リアともディスクを採用していました。
'79年プジョー初のディーゼル・ターボエンジンを搭載する604Dを発表。2304ccのディーゼル・エンジンに、ギャレット・エアリサーチ製ターボチャージャーを装着。最高出力79HP/5150r.p.m、最大トルク18.8kg/2000r.p.mを発生。最高速度は、150km/hと平凡なもの?だったが、燃費は、11km/ℓを記録しています。ノルウェー向けにGRD、SRD、アメリカ向けにSなども生産されています。'80年にはSR(官公庁向け)と8人乗りのリムジンも登場しています。そして、'83年に、ガソリン・エンジンのGTI(2849cc/150HP)とディーゼル・エンジンのGTD(2498cc/94HP)の、604としては、最後の追加モデルが登場しました。
1985年に生産が終了。話題性の高さはあったのですが、約10年間の生産は、153,266台と満足のいく台数ではありませんでした。しかし、41年ぶりに登場した6シリーズ。この6シリーズの復活によって、次期の605へと受け継がれ、そして、607へとプジョーの旗艦としてのバトンをしっかりと渡すこととなりました。