内装はドライバーが接する時間が一番長い空間でもあります。そこでインテリアデザインに関しても、ジェローム・ガリックス氏は、かなりのコダワリを持っています。過剰なデザインにするよりシンプルさにこだわったデザインだと言えるでしょう。
ジェローム・ガリックス氏は『造形はシンプルにして、素材や仕上げを上質にすること。常日頃からクルマの室内空間はクールゾーンでなければならない。あくまで静かで幸福感と満足感に満ちた空間に身を置くことが大切。』と考えているのです。
しかし、凄いものを作るよりシンプルなものを作る方が難しく時間がかかります。確かにプジョーの内装は今までもシンプルな造りでした。外観のデザインはピニンファリーナによるものがほとんどで、美しく魅力的なデザインだったと言えます。しかし、内装は?というとシンプルと同時に素っ気なく質感も高いとは言えないものでした。
ジェローム・ガリックス氏曰く「クルマのエクステリアは恋愛であり、インテリアは結婚です。エクステリアは一目惚れが大切ですが、インテリアは結婚して落ち着いた幸福を求める世界であるべき」だそうです。つまり「称賛を浴びるけれど自分のものにしようとは思わないクルマより、フランス的に一般的でありふれているけれど、なぜか惹かれてしまうクルマを造る」ということなんでしょう。
また、「シンプルなクルマを造るのは凄いクルマを造るより10倍も時間がかかる」とも言っています。
確かに308の内装は今までのプジョーとは一線を画すものとなっています。デザインのみならず質感も高め、トリムなどのシボの選定に1年近くも掛けたほどのコダワリがそれを物語っているのです。
次回は、308のメカニズムについてご紹介いたします。