私が個人的に、傑作揃いと思っている05シリーズの先鋒。
Peugeot 305。それは、1977年11月にデビューしました。
この305は、304の後継車と番号だけ見れば、誰でも考えるかと思います。しかし、ボディーサイズとしては、4シリーズの後継モデルと考えたほうが普通ではないかと考えさせられます。305は、204をベースとして造られた304とは違い、ピニンファリーナ・デザインによる新しいボディーです。しかし、基本構造は、304とほぼ同じものを使い、改良をしたものを使っていたそうです。
エンジンとしては、当時のプジョーFWD全車に共通していた4気筒SOHCで、4M/T、サスペンションはフロント/マクファーソン・ストラット+コイル、リア/トレーリング・アーム+コイルによる4輪独立懸架となっています。ブレーキは、前輪ディスク、後輪ドラムという一般的な構造となっています。
エンジンの性能は、発売当初、304と同じガソリン・エンジンの1290cc、65HP/9.6kg-m、最高速度135km/hのGLとGRのタイプと、改良型の1472cc、74HP/11.8kg-m、最高速度147km/hのSRの2タイプがありました。GLとGRのボディーサイズは、全長4237mm×全幅1630mm×全高1405mm。SRが全長4237mm×全幅1642mm×全高1400mmとなっています。その後、1979年には、GRD(ディーゼルエンジン)というグレードが追加されています。
1980年のジュネーブ・ショーにおいてブレークを発表。このブレークのリア・サスペンションは、ラゲッジ・ルームを広く使えるようにするため(コイル・ダンパーユニットを荷室に張り出させないためと、リンク効果によりスプリングが可変レートとなる)、コイル・スプリングをトレーリング・アームの近くまで下げ、水平に寝かせて取り付けられています。その後には、このリアサスペンションは、スプリングを横置きトーションバーに変更して、205、405などの小型、中型のプジョー車すべてに採用されています。ですから、プジョー独特のリア・サスペンション形式は、この305が起源ということなんですね。
ブレークのグレードは、GL(1290cc)、SR(1472cc)GLD,SRD(1548ccディーゼル)の4タイプを揃えていました。'81年には、1472ccエンジンを89HPへと改良した305Sがベルリーヌに加わっています。'82年には、マイナーチェンジを受け、GTというグレードを新設。1580cc,94HPの新型エンジンを搭載し、ギアボックスが一般的な横置きFWDとなっています。'84年には、GTXとオートマティックの2タイプが追加。GTXは、1905cc/105HPのパワーユニットを搭載していて、最高速度も182km/hに達し、305では、最高のパフォーマンスを誇っていました。オートマティックは、ZF社と共同開発し、4速A/Tは、フランス車としては、初めて搭載された車なんです。しかし、'85年に205にトランクをつけただけのような309を発表、'87年には、405とニューモデルを次々と投入していきます。そして、305は、後継車205など次期プジョーに影響を与え、姿を消していくこととなったのです。