2005年末にWRCの撤退を表明したPSA(プジョー・シトロエンGP)ですが、プジョーは次なる目標をすでに定めていました。その次なる目標とは、伝説の1-2-3フィニッシュとともに撤退した「ル・マン 24時間耐久レース」へディーゼルエンジンでの挑戦だったのです。
プジョーは、ル・マン24時間において、ディーゼル・エンジンを搭載した車両で優勝することに狙い定めています。さらに、このル・マン24時間耐久レース参戦にあたって、ル・マンシリーズ(LMES)にもフル参戦することになりました。
このル・マンシリーズは、モンツァ、バレンシア、ル・マン24時間、ニュルブルクリンク、スパ、シルバーストーン、(未定)、で行われています。実は、このプロジェクトは'06年初頭に具体的にスタートしていたのです。プジョー・スポールは、ディーゼル技術が世界的に認められているPSAのエンジニアリング部門と協力し、シャーシとエンジンの開発に取り組んでいました。そして、さまざまなテストを重ね完成したマシンが「908 HDi FAP」なんです。その完成したマシン「908 HDi FAP」を'07年ル・マンシリーズを投入することとなったのです。
この'07年ル・マンシリーズは、プジョーとしては、初めてのディーゼルエンジンでの耐久レースです。その為、ル・マン シリーズに参加した当初から、'08年での勝負を決するための準備として、'07年をデータ収集を目的とするシーズンであると位置づけています。しかし、ル・マン シリーズが始まってみると、シリーズ第1戦、イタリア・モンツァにおいて、プジョーの新しい伝説がスタートすることになりました。なんとプジョー908 HDI FAP ニコラ・ミナシアン/マルク・ヘネ組が優勝。Debut to Win という快挙をいとも簡単に達成してしまいました。この勝利は、プジョーが他社のチームに対し、帰ってきた獅子の強さを、まざまざと他のチームに見せ付ける結果となりました。さらにシリーズ第2戦 スペイン・バレンシアにおいても連勝してしまいます。そして、その勢いにのったプジョー・スポールは、「ル・マン24時間耐久レース」へと乗り込むことになりました。
前評判では、まだ、908 HDi FAP には、内外からでも、24時間戦えるだけの戦闘能力は無いと言われていました。
しかし、ここでもプジョーが大健闘を見せてくれます。残念ながら、昨年から、ディーゼルエンジンをル・マンに投入していたアウディーR10に優勝を譲ってしまったものの、当初から、あくまでも来年に向けたデータ収集を目的として参戦したと言っていたプジョー908が、大雨が降るという最悪のコンディションの中にあって、最後までアウディーとデッドヒートを演じています。
そして、908 HDi FAP の初の24時間へのチャレンジは、908デビュー&ディーゼルエンジン初挑戦で2位という素晴らしい成績を残す快挙をいともたやすく演じてしまったのです。
その後、ル・マンシリーズでも順調に好成績を収め、ル・マンシリーズでは優勝を収めています。しかし、ル・マン24時間を制することができなかったのが唯一の心残りとなりました。
翌年、ル・マンシリーズに宿敵アウディーR10も参戦することとなりました。しかし、このシリーズでは、圧倒的な速さを持つ908 HDi FAP のも開幕4連勝と、もはやどのチームも敵では無かったのです。
ル・マンシリーズ3連勝中と勢いに乗るプジョー陣営。その為、24時間も優勝はプジョーであると確信されたル・マン24時間 2008 の開催でした。磐石で迎えた24時間では、ドライバーにビルヌーヴを迎え、3台の908で必勝態勢をとっています。序盤は908の圧倒的な速さでアウディーR10を圧倒!1-2-3の908のランデブー走行が続きます。しかし、その後、プジョーの908に次々とアクシデントが発生。これは、プジョー陣営にとって予期せぬ出来事でした。エースの8号車のオーバーヒートによる約30分のタイムロスから始まり、さらには大きな鳥の衝突などの事故も発生などなど。。。結局、ノンアクシデントで24時間を走り切ったアウディーR10に優勝をさらわれるというトラブル・アクシデントに泣かされるという非常に残念な結果となりました。(908は2位、3位、5位)
905で1-2-3フィニッシュを飾った'93年以来の念願のル・マン24時間レース制覇!プジョー 908 HDi FAP は、ル・マン サーキットに君臨する姿を、今年こそ!私たちに見せてくれるに違いありません。伝説の再現!今年2009年のル・マン24時間で完成させる為に。