久々のプジョーの歴史シリーズです。
このシリーズを今回から「ライオンの記憶」といたします。それでは・・・・。
● プジョー204 それは、プジョー初のFWD。
プジョー204は、戦後初めてのニュー・モデルとして誕生しています。203(1.3ℓ)以降、プジョーは、基本的に単一車種の販売を行っていました。しかし、403から404へモデルチェンジをするごとに、車体が大型化し、大排気量化が進むこととなり、かつての小型車クラスの車両(2クラス)が無いという状況でした。そこで203(1960年販売中止)クラスの新型車「204」を1965年4月に発売することになったのです。
プジョーのデザインと言ったら切っても切れない関係であるピニンファリーナ。そのピニンファリーナによるデザインのPeugeot 204なのです。
今回は、プジョー初のFWDモデル204を取り上げてみます。
Peugeot 204 は、プジョー初のFWDを採用した車両として有名です。全く新しく設計されたパワーユニットは、横置きでその下にギアボックスを配置していました。
この204で、プジョーとしては、初めて採用したオールアルミニウム製エンジンや量産モデルでバルブ駆動方式をSOHCとしたのも初めてでした。初めてプジョーが採用した排気量1136ccの水冷直列4気筒エンジンは、ソレックスのシングル・キャブレターを装備し、最高出力は53HP/5800r.p.mで、最大トルクは8.3kg-m/3000r.p.mというものでした。ミッションは4速コラム式シフトで、最高速度140km/hを記録しています。
また、サスペンションもプジョー初であり、204専用に開発されています。フロントはマクファーソン・ストラット/コイルによる独立懸架で、形式は404と同じだったんですが、内容的には全くの新設計でした。リア・サスペンションは、ドライブシャフトが無くなったことにより、これまでのトルク・チューブ・ドライブ方式から、トレーリングアーム/コイル・スプリングによる独立懸架となりました。
ボディーのデザインは、最初に述べたように、ピニン・ファリーナのデザインによるもので、サイズは、全長3970mm×全幅1570mm×全高1400mmの小さなボディーサイズだったが、2590mmという長いホイールベースを持っていました。この長いホイールベースにより、室内空間が広くなり、5人乗りでしたが、850kgと軽い車両重量を実現しています。販売当初はグラン・ルクスの1グレードのみの販売でしたが、サンルーフ付きが選択出来たようです。
'66年、ベルリーヌ・ルクスを投入。55HP/5750r.p.m、8.4kg-m/3500r.p.mに性能をアップしたエンジンも用意されていました。また、グラン・ルクスも55HPの1127ccから59HPのユニットを加えました。
そして同年10月には、カブリオレのグラン・ルクス(202C)と2/2クーペ・グラン・ルクス(202Co)をさらにラインナップしました。しかし、このカブリオレとクーペは、次に304が発売されると、ベルリーヌより早く移行することになり、'70年に販売が終了しています。ベルリーヌは、そのままそれ以後も販売を続け、'74年にはディーゼルエンジン搭載車を追加し、マレーシア、アフリカ、中近東輸出仕様車をさらに追加しました。そして、販売中止となったのは、1976年のことで、1,080,966台の生産台数をもって終了ということになりました。
204は、プジョーで初めてのFWDモデルでしたが、204の成功により、その後のプジョーがFWDを採用していくようになりました。