Peugeot.......
その洗練された芸術ともいえるデザインは、今も昔も変わることがありません。古ぼけない、時をも超えるデザインはプジョーを身に纏う人々にとっての誇りであり、ブランド価値としての高さを表しています。
今回は、そのデザインについてご紹介いたします。
○ ピニンファリーナとスティル・プジョープジョーのデザインは、306と206とを境として、206から全く新しいベクトルへと移行したと言って良いのではないでしょうか?
1955年に発表された「403」以降、イタリアのカロッツェリア『ピニンファリーナ』との密接な協力関係を40年にも渡り作り上げてきたからなのです。そのスタイルは、プジョーのイメージを作り上げ、プジョーの成功と大躍進に貢献したものだったと言っても過言ではないでしょう。
'98年に発表された206において、プジョーはそれまで保守的とも言われたデザインにおいて、チャレンジを試みました。
プジョー社内に「スティル・プジョー」と言う自前のデザインセンターを擁立し、初めてそのデザインを206で採用したのです。その206は皆様ご存知の通り、プジョー始まって以来の数々の快挙を達成し大成功となりました。その後、このデザインに自信を持ったプジョーは、307もプジョーデザインスタッフの手に委ねています。そして現在では、スティルプジョーとピニンファリーナの合作のデザイン(1007、407、New307)など様々な形でプジョーらしい新しいデザインへチャレンジしているのです。
しかし、プジョーの歴史を考えてみると、実は同じことが繰り返されていることに気づきます。と言うのは、ちょっと見るだけでは全く違うデザインなのに、プジョーのモデルチェンジは、ジックリ見てみると同じシリーズなんだ!と感じることができるのです。なぜならば、先代モデルの基本的なイメージを踏襲しながら、そこに革新的なデザインを施すという手法が必ず採られているからなのです。ですので、現在、大きく変わったと思われる207シリーズのデザインは、次世代のシリーズ208が出た時に、206と207を見比べて、「プジョーらしいデザインである」と思ってしまうのではないでしょうか。
○ デザインの基本コンセプト?プジョーのデザインは、すべて「ライオン」をモデルとして考えているらしいのです。
そのデザインの考え方は、シリーズに関係なく全てのプジョー車にあてはまります。特に207は、誰が見てもはっきりとその「ライオン」が表されたデザインであると思います。
皆様のプジョーを見てください。前から見ると、ライオンが座っているように見えませんか?そう!ライオンが、獲物を追う時の頭を少し低くして忍び寄る形を表しているのです。
前から・・・・
ライオンのシンボルマークが鼻先。ボンネットのラインが鼻先に伸びるノーズ部分。当然、ライオンなのでヘッドランプが釣り目('65 204から採用)。ライオンマークからヘッドランプにかける隙間がヒゲ。バンパー下のラジエーターに空気を送り込む穴が口(クーペ407、207には牙?もついています!!笑)。フロントタイヤが前足として、その上の部分のボリューム感のあるウネリ?が前足の筋肉。バスト・ウェスト・ヒップがあるボディーライン。後輪が後ろ足。丸びを帯びたリアのデザインがライオンのお尻。。。。。リアゲートに思わず尻尾を付けたくなってきませんか?
どうですか?プジョーの車が「ライオン」に見えてきたでしょう?
これは、プジョーが昔からこだわる一貫したクルマのデザイン。すなわち芸術品の「クルマのライオン」なんですね。時代時代のプレス技術の中で、出来る限りライオンを表現しているのがわかります。ですから、10年前に発売された206のデザインも古ぼけないのです。アートですから。306も今でもカッコイイ!デザインですよね。306が昭和の車のデザインなんて思えないでしょう?
流行のデザインを追うと数年すると古く感じるんですね。
たとえば、フロントのデザインのヘッドランプが釣り目が流行るとなんでもかんでも釣り目。後ろのデザインは四角のストップランプが人気があるので、四角に!横は、コストダウンの為に、ベタッとした平面でいいや!しかし、平面だと強度が足りないので、少しプレスラインをいれて強化しようかな?大量生産だし、コスト削減!って感じの車!身近に沢山ありませんか?何度も言いますが、流行ったデザインを追うから数年すると古くなってしまうと私は思うのです。
結局のところ、芸術品にするといつまでも古ぼけないデザインになる!ってことなんですね。しかし、逆に古くならないデザインだと買い換えてもらえない!ってどこかのメーカーの声が聞こえてきそうですが・・・。
「良いものを買って、補修できなくなるまで長く使う!使い切る!」そんな文化がヨーロッパ車にはあると思うのです。まさに日本の「もったいない」の文化と同じですね。もしかすると、単にケチなのかも?
冗談はさておき、メーターパネルなどは、時代を感じない視認性の良い針のメーターを使う車が多く、個性豊かで長く使ってもヘタリ難いしっかりとしたシャシー。そんな作りになっているから、値段もそれなりになってしまうのです。ヨーロッパでは、電装品での装備アップでのユーザーへの「ゴマカシ」が効かないのでしょうね。
使い捨て文化を戦後学んだ日本!経済の発展には貢献したのですが、経済状況に陰りが見えっぱなしの現在、昔のように「もったいない」を思い出さないといけないと思いますね。(こんなことを書くと、ディーラーとして失格でしょうかねぇ~?)