○ クーペ407の完成度。それは406クーペのデザインを超えた?!車としての完成度において、406と407は根本的に設計思想が物理的な面からみても感じることができます。406クーペの乗り味は、明確にスポーツへ感のあるハンドリングを訴えかけてくれました。ステアリングを切り始めた時の初期応答性が高く、FF車とは思えないほどのシャープさがありました。低く伸びやかなスタイリングを実現させる為に低められたボンネットの為、フロントサスのストローク幅が大幅に切り詰められたお陰でバネレートが高められ、それがクイックに感じるハンドリングにも繋がっているんだと思います。しかしその為か、ギャップを乗り越えた際の突き上げ感がやや気になる所ではありました。ボディー剛性をもう少し強くしてくれれば解消できたかもしれませんね。剛性面で不利といわれるクーペボディなので無理なお願いなのかもしれませんが。。。
クーペ407は?と言うと、乗り味としてはまず「ドイツ車のような感じ」を受けました。ボディー剛性の高さは体全体で感じることが出来ますし、サスペンションの動きも動きすぎることがなく、不快ではない程度のゴツゴツ感をしっかり感じます。また、突き上げ感においては柔らかめのブッシュによって軽減されてもいるのです。このクーペ407の乗り味は、一言で言うと「世界スタンダードである」と言うのは、大袈裟でしょうかね。
昔からプジョーをご存知の方にとって、「クーペ407の乗り味は?」と聞くと「硬い!」と答える方が圧倒的に多かったですね。皆さんが感じた通りではありますが、クーペ407では「足回りのしなやかさ」という物は実は存在しており、そのしなやかさはしっかりと計算されたストロークの中で収まってくるのです。それが「プジョーらしいのか?」と聞かれると、正直言って私自身も「そうですね。」って思わず考え込んでしまいます。私が思うにプジョーらしいかもしれないし、プジョーらしくないのかもしれません。しかしながら、明らかに進歩した足回りであることには間違い無いと考えています。この足回りは何年か先に私にとって本当に理解できる「新しい21世紀プジョーの猫足の設定だったんだ」と言ってるかもしれませんね。(笑)
今までのプジョーの足回りの設定は、石畳でもデコボコを吸収しながらスポーティーに走る為に、タップリとしたストロークを必要とした時代だったと言えるでしょう。しかし、現代の道路事情ではアウトバーンで200km以上で走ることも求められています。また世界中の様々な状況に対応するとなると、どうしてもこうした乗り味になってしまうのが現実なんでしょうね。そんな中で、プジョーらしいフレンチスパイスを効かせたクルマの乗り味は、このクーペ407の様な感じになるのでしょうね。プジョーの独特ともいえるフランスの味が少しづつ薄められる現実は私にとっては非常に残念な事なんですが・・・。しかしクーペ407は、プジョーのフラッグシップモデルに相応しい、世界で認められる「1級品の走り」になったと考えるのが一番の答えなのかもしれません。